同人誌やグッズ制作など、趣味の延長で始めた創作活動。
気づけば通販サイトで売上が出たり、イベントでも好評だったと、「これって営利目的かな?」と悩んだことはありませんか?
本記事では、「同人活動」と「営利目的」というテーマについて、以下についてわかりやすく解説します。
- 営利目的とはどこからが該当するのか
- 著作権や法律上の注意点
- 収益が出た場合の税金と申告の義務
- トラブルを避けるために気をつけたいこと
収益化を視野に入れて同人活動をしている方、これから始めたい方など、ぜひポイントを押さえておきましょう。
同人活動とは?
同人活動とは、商業出版とは異なり、個人または有志のグループによって行われる創作活動のことを指します。
主なジャンルには以下のようなものがあります:
- 同人誌(漫画・小説・評論など)
- 同人ゲーム
- 音楽作品(同人音楽)
- グッズ制作
もともとは「趣味の範囲」での創作が中心であり、営利目的ではなく、好きなものを表現・共有するための活動として広がってきました。
営利目的とはどこから?
同人活動における「営利目的」という言葉は曖昧ですが、法律的・社会的には次のような基準で判断されることが多いです。
一般的な営利目的の定義
営利目的=利益を得ることを目的とした行動
たとえば、制作費を大きく超える利益を想定して販売する、継続的に販売収益を得て生活の糧とする、などが営利目的に該当すると考えられます。
同人活動で営利と見なされるケース
- 利益を得ることを前提に価格設定をしている
- 大量に印刷して継続的に販売している
- 委託販売や通販、ダウンロード販売を行っている
- 売上が大きく、制作費との差額が明らかに利益となっている
逆に、「頒布価格が原価程度」「完全に赤字」「身内だけの配布」などは営利目的とは見なされにくい傾向があります。
二次創作と著作権の関係
二次創作(既存のアニメ・漫画・ゲームなどを元にした同人誌)は、法律的には原作の著作権を侵害している状態であると解釈されるのが原則です。
なぜ黙認されているの?
実際には、多くの企業が「ファン活動の一環」として黙認しているか、あるいは明確な二次創作ガイドラインを設けて許容しています。
しかし、これはあくまで企業の好意や許容の範囲内であり、「法律的にOK」という意味ではありません。
知っておきたいガイドラインの例
営利目的の色が強くなると、黙認の範囲を超えて注意・警告の対象になりやすいので要注意です。
主に二次創作で販売活動を行う際はガイドラインを必ずチェックしましょう。
税金と申告の問題
同人活動が営利目的で行われる場合、税金の申告義務が発生します。
たとえ少額の収益であっても、税法上では「収入がある」ことが重要です。
特に、年収が一定額を超えた場合には確定申告が必要となり、これを怠るとペナルティが科される可能性もあります。
ここでは、収益化した場合の税金に関する基本的なポイントを見ていきましょう。
税務署は、商業的な利益を目的とする活動には目を光らせているため、同人活動で収益を得る場合も、しっかりと税法に則って申告することが大切です。

売上が出たら原則「課税対象」
本業で給与所得があり、本業の給与所得や退職所得以外の同人誌などを含めたその他の所得の総額が20万円を超える場合には、確定申告が必要です。
年間の副業所得が20万円を超えたら、確定申告をしなければなりません。例えば、同人誌の売上が年間25万円だったとしても、必要経費が8万円かかったとすれば所得は17万円です。
よって、確定申告は必要ありません。
しかし、必要経費が4万円であれば所得は21万円のため、確定申告が必要です。
この場合、同人誌の利益を雑所得として、給与所得とともに確定申告します。引用元:弥生株式会社公式ホームページより
税務署の視点では、「趣味かどうか」よりも「お金が発生しているか」が重要です。
経費として認められるもの
- 印刷代・装丁費・素材購入費
- イベント参加費・交通費・宿泊費
- ペンタブや制作ソフトなどの道具代 など
きちんと領収書や支払い記録を残しておけば、経費として差し引けるため、申告時の税額を抑えることができます。

【個人確定申告】会計ソフトの活用がおすすめ
副業レベルの同人活動でも十分に対応でき、帳簿作成が苦手方でも安心です。
何から始めて良いのか分からない方は、会計ソフトを利用するとスムーズに申告ができます。
営利目的で活動する際のリスクと注意点
同人活動を営利目的で行う場合、収益化のメリットと同様に、リスクや注意点も把握しておきましょう。
特に、利益を得るためにはさまざまな法的・社会的責任が伴います。
リスク1:著作権侵害(二次創作)
原作に強く依存する表現、ガイドラインに反する営利活動は、警告・販売停止・損害賠償の対象になることも。
リスク2:無申告による税務調査
「バレないだろう」と思っていても、SNSや販売記録から調査されるケースは増えています。
リスク3:SNS・ネット炎上
価格設定・作品内容・マナー違反などが火種となり、誹謗中傷に発展することもあります。
リスク4:取引・通販トラブル
誤発送や返金対応など、ある意味で「お店を運営する責任」が求められます。
無責任な対応は、トラブルのもとになるので気をつけましょう。
リスク5:身バレ・本名バレ
売上規模が大きくなると、申告や契約で個人情報を出す場面が増えます。
転送住所・屋号・専用口座の利用などで対策をしましょう。
まとめ:同人活動と営利目的は慎重に付き合おう
同人活動は本来自由な表現の場ですが、収益が生まれると、それに伴う責任やリスクも発生します。
「営利目的」とみなされる境界線を理解し、著作権や税金のルールを押さえたうえで行動することで、安心して創作を続けることができます。
収益化=悪ではありません。
法律・マナー・自己管理を意識しながら、自分らしい同人活動を育てていきましょう。

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